転職経験者に学ぶ!職種別転職体験談

「もっと利益を追求したい」という一部の欲求を満たすために転職。その他の条件面を確認しなかった結果・・・。

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Nさん / 51歳 / 男性 / 福岡県
転職前:アパレルメーカーでの卸営業
転職後:アパレルメーカーでの卸営業

転職失敗

-転職前の企業での事業内容を詳しく教えてください。
各シーズンごとのトレンド商品の企画立案をし、自社企画商品として海外(主に中国)の提携工場へ生産を依頼。同時に顧客である小売店や問屋への卸売り営業を行います。
国内全域に取引先があり、割り振られた担当地区へ出張し、商談を行い受注をまとめていきます。
また、販売力のある取引先に対しては別注やOEMとしての受注をまとめ、提携工場へ生産を依頼。
自社企画、別注・OEM共に提携工場へ対しコストや納期の設定・交渉を行い生産の発注をかけます。
発注後製品のクオリティチェックと納期のコントロール、日本着の具体的な日にちを決定。商品入荷後に検品を行い、発注をいただいている得意先へ納品となります。
-転職を考えたきっかけを教えてください。
その当時は、新たな取引先の開拓、売り上げアップの為に、純粋に、売れている商品を販売力のある企業へ売り込みたいと考えていましたが、会社の、あくまでもオリジナル商品(他社の類似商品と認識されないもの)を信用度のある企業と提供するという方針の為、どうしてもクイックな営業ができなかったことにジレンマがあり、もっと効率良く自社企画商品を売り込み、売り上げアップ並びに業界でのシェア拡大を行いたいと考えていました。
会社は堅実な経営方針でしたので、一時の売り上げ・利益を取る為の営業マンの考え方や行動に簡単には許可が下りませんでした。
その為、同業他社が業績を上げたり、共通の取引先のシェアを奪っていく状況を見て歯がゆさを感じていました。
その頃、新たに婦人服アパレルメーカーを立ち上げられた会社の社長より話をいただき、もっと自由に売り上げ・利益を上げ、顧客のシェア拡大ができる営業環境、経営方針の下で仕事をすることができると思い転職を決意しました。
-この業務だけはもっと続けたかったという業務があれば教えてください。
転職前の企業から、マーチャンダイズ(企画立案から工場への発注・交渉、生産管理など)に携わっていましたので、やはり営業だけではなく、モノ作りありきの営業活動を行いたいという気持ちが強くありました。
-転職活動はどのように行いましたか?
この時は幸い、転職する企業の社長と面識もあり、以前にも何度かその社長の会社で働かないか?とのお話もいただいていましたので、求職支援サービスの利用をすることもなく転職することができました。
-転職後の会社に入社を決めた理由を教えてください。
転職後の会社は、良くも悪くも売り上げ・利益追求型の経営方針の会社で、転職前の企業のように商品企画のプロセスや顧客の信用度などには干渉せず、売れる商品を売れる時期に、販売力のある得意先に卸すことに徹していました。
私もその当時はそのような経営方針に共感する部分が多くありましたので、どんどん売り上げを作りキャリアアップも図れると考え入社を決めました。
-転職後の会社での業務内容を詳しく教えてください。
自社企画商品の卸売り、という業務内容では転職前の企業と基本的には変わりがありませんでした。しかし、マーチャンダイズに携わる頻度が少なくなり、卸売り営業に特化した業務内容となりました。
-入社前のイメージと違っていたところはどんなところですか?
魅力的に思えていた売り上げ・利益追求型の方針でしたが、そこを追求するあまり、商品企画においてもオリジナリティに欠け、売れている他社商品の安易なコピー企画が多く、転職前の企業で行っていたようなモノ作りができない環境でした。
また、資金繰りが優先される為、キャッシュフローの良い取引先へ優先的に商品を供給することで商品が不足し、その他の得意先へ迷惑をかけ不信感を募らせるような事も起きていました。
また、毎週火曜日から金曜日までは出張、在社の日も退社時間は午前0時を過ぎることが常で、ちょうど子供が産まれたばかり時期とも重なり労働条件の面でも少し厳しい状況でした。
-仕事の難しさ、辛さを感じた点はありますか?またそれはどのように克服しましたか?
トレンド商品の卸売りですので、同業他社よりも早い提案、低いコストが求められます。得意先に対して今は自分の会社がメイン取引先であったとしても、条件次第でいつ立場が逆転するかもしれません。
取引金額の維持またはアップ、自分の会社に対する信頼度を保つ為には、先方担当者との距離を縮め、何かあれば自分の方を向いてもらえるような信頼関係を築くことが大切ですが、人と人とのことですので、扱っている商品の良し悪しだけでなく、先方担当者との相性も要因の一つとなってきます。
また、先方担当者の業務がスムーズに行われる為に、本来であれば先方担当者の仕事である商品登録作業や発注システム入力作業など代行することも多々ありました。
-仕事の中でやりがいを感じた部分はどこですか?
自分が提案した商品を店頭に並べてもらい、消費者の方に買っていただく。取引先である会社へ利益をもたらし、同時に自分の会社、ひいては自分への信頼度が増し、次はもっと大きなお取引に発展していくことに大きなやりがいを感じていました。
比較的規模が大きく販売力のある企業中心に営業を行っていましたので、納品した商品の結果も早く表れ、その結果次第でリピートオーダーへ繋がる確率も高く、効率よく売上を伸ばすことができました。
また、転職前の企業での担当得意先の振り分けと違い、全国各地、大きな売り上げが見込める企業に対しては、多少経費が掛かっても出張し商談することが許されていましたので、いろいろな都市のショップやトレンド傾向を知ることができました。
また、今後会社が大きくなるであろうと思われる、まだ若い会社の方とも繋がりができ、その後もお付き合いさせていただけるような関係も築くことができました。そこで得られたご縁は今でも私の大きな財産となっています。
-転職は成功でしたか?失敗でしたか?
失敗でした。
-なぜそのように感じましたか?
転職前の企業と違い営業マンの数も少なく、その為どうしても一人あたりの業務の負担が増えてしまいます。
先にも述べましたように一週間のうち5日は宿泊を伴う県外への出張、在社の日は出張で商談してきた内容の処理、得意先へ提出しなければならない資料作成などの事務作業、商品出荷の指示出しなどで深夜までの残業が当たり前となっていました。
その為、帰宅後シャワーだけ浴びてそのまま次の出張の為に空港や駅に向かうというサイクルの生活でした。
ちょうど子供が産まれたばかりでしたが、平日は私がほぼ不在でしたので妻にはかなりの負担をかけていたと思います。
出張のスケジュールや残業時間の短縮など会社に改善を求めましたが受け入れてはもらえず、これ以上家庭に負担をかけながら今のペースで仕事をすることは難しいと判断し退職を決意しました。
当時の私もそうでしたが、売り上げ・利益の追求が最優先という方針の会社でした。
初めは共感し営業活動に邁進していましたが、小さな規模の得意先や、一時的であっても業績が伸び悩んでいる得意先は切り捨てていくといった会社の考え方に沿った営業活動をすることは、やはり自分には向いていないと実感しました。
-この仕事の個人的な楽しみ方を教えてください。
お客様のところへ伺っての商談が中心となりますので、日本全国各地に行くことができ、その土地ならではの空気を味わうことができます。
残念ながら空いた時間で観光するなどの余裕はありませんでしたが…。
また、仮に転職したとしても同じ業界であれば、お世話になった方とまた繋がる可能性があります。そこで新たなお取引に発展するケースも多々あります。
そして何よりも、街で見かけたりすれ違ったりした方が、自分が提案し店頭に並んだ商品を着ていらっしゃる場面に遭遇した時は何とも言えない嬉しい気持ちになります。
-この転職からどのようなことを学びましたか?
転職前の企業は堅い部分もあり、そこに不満を感じてはいましたが、会社の規模、堅実な経営方針、労働条件、福利厚生など働く上で、自分だけでなく大切な家族も含め安心できる条件が揃っていました。
それらを当たり前のように感じていましたが、条件の悪い会社で働いてみて改めて転職前の企業の労働条件や待遇のありがたみが身に沁みました。
一部の不満を解消する為に、業務には直接関係のない条件面を確認せず転職してしまったことは明らかに早まった決断でした。
家族もある立場であればなおさら、自分の一時の気持ちを優先することで起こるメリット、デメリットを冷静に考え判断することが大切だということを学びました。
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